たぶんどうにもできなかった

 

 

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春と言えばうつの季節。

 

暖かな春の陽気は嬉しいことばかりではない。

今日はこんな時に運悪く学生時代を過ごした街を車で通ってしまった。

うつ×春の陽気×懐かしさ×記憶のフラッシュバック=死にたさアップである。

 

もう十年以上も前なので街並みが変わり、良く行った定食屋や良く通った古着屋が消えていた。相変わらず人は多く、今住んでる地域では見かけないようなおしゃれな服装の若い人達が忙しそうに行き交っている。

 

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車を走らせる度に脳内に大学生だった時の自分が現れては消える。

浅はかで無知で無計画で空気が読めず、おしゃれだけは力を入れた自意識過剰と根拠無き自信の塊であった自分が。友達との予定も無く「探索」と称して街を当ても無く歩き、疲れたら駅のドトールで好きな作家の新刊を読む。全体的にふわふわとした考えで、毎日を無為に過ごし金を稼ぐ辛さと向き合うつもりも無く、奨学金で身分不相応のカメラを買い、将来に繋がるわけでもない写真を取りまくっていた私。

 

予備校時代の友達は別の大学で既に新しい人間関係を築き、楽しく過ごしているであろう事に焦りと嫉妬と恨みを感じ、自分が思い描いていた理想の人間関係を、大学で作れていないことに大きく絶望していた頃。少しでも昔の友からの誘いがあれば全速力で駆けつけて、どうにか自分との繋がりを断ち切らないで欲しいと思っていたみじめな私。

 

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そんな自分を思い出しながらふと思った。当時の自分が今の自分と同じレベルだったら、少しはどうにかなっただろうか?と。いや、たぶんどうにもできなかった。結果は同じだったと思う。私が今あの頃に投げ込まれたとしても、憧れのキャンパスライフなどとは程遠い生活をしていただろう。

中高と真っ暗な暗黒時代を過ごし、予備校で一瞬太陽の日を見たからといって、大学で開花できるほど世の中は甘くないし、私の心も強くなかった。

大学とは、中高とさんさんと太陽を浴び続けた者達がさらに輝かんとする場所であり、暗黒にいたものが一発逆転するには非常に難易度が高い世界である。

 

そんな世界で4年間をよく過ごしたなと今になれば思うし、現在大学での知り合いとは誰とも連絡を取っていない事を考えると、あんな自分が精一杯の社交性を出して得た「友達もどき」は最初から要らなかったのだなと思う。大学の価値とは、4年間自由に本を読める時間を得たという事ぐらいしかない。

 

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